「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
メイルのネクロポリス
メイルのネクロポリスについて
メイルのネクロポリスは、現代の町エル=クシヤの近く、アシュートの北西約50kmに位置し、歴史的・考古学的に非常に重要な場所です。メイルは古代都市キス(Qis)と歴史的に結びついており、古代エジプトの古王国時代から中王国時代にかけて、この地域の支配者であった地方長官(ノマルク)たちが埋葬された墓地でした。このネクロポリスは、当時のエジプト地方統治者やその家族の暮らしと風習を理解する貴重な手がかりを提供しています。
メイルのネクロポリスの主な特徴
位置と歴史的重要性
メイルは、第14上エジプト・ノモスの首都キスに関連した墓地であり、主に第6王朝および第12王朝の墓が存在しています。
考古学的研究
20世紀初頭に、エイルワード・ブラックマン(Aylward Blackman)とサイード・パシャ・カバシャ(Sayed Pasha Kabasha)によって最初の発掘と調査が行われました。墓の壁には日常生活や地域の風習、宗教儀礼などが生き生きと写実的に描かれています。
主な墓
ニアンフ=ヘピの墓(Meir A-1)
この墓は、第6王朝のペピ1世の宰相を務めたニアンフ=ヘピ(別名「ヘピ・ザ・ブラック」)のもので、日常生活や宗教的儀式が詳細に描かれています。
ペピアンクの墓(Meir A-2)
ニアンフ=ヘピの息子であるペピアンクの墓で、さまざまな工芸や収穫の場面が描かれています。特に注目されるのは、ペットの犬と猿を伴って輿(こし)に乗るペピアンクを描いたシーンです。
センビの墓(Meir B-1)
第12王朝時代のもので、狩猟、奉納の儀式、さまざまな製造工程などが非常に良好な状態で残されています。
ウクホテプの墓(Meir B-2 と B-4)
ウクホテプという名前を持つ二人の地方長官の墓で、地方支配者の生活や職務が描かれています。狩猟の場面、鮮やかな野生動物の描写、親密な家族の肖像画などが見どころです。
修復とアクセス
1997年より墓の壁画の鮮やかな色彩や構造的な完全性を保つための修復作業が開始されました。現在、計画された17の墓のうち9つが一般に公開されています。
また、訪問者の利便性向上のために、階段、カフェ、トイレなどの施設が整備されています。
出土品と展示
ペピアンクの石灰岩像を含む一部の遺物は海外に持ち出されましたが、その後エジプトに返還され、現在はマラウィ博物館に展示されています。
文化的・歴史的な洞察
メイルの墓地は、古代エジプト古王国および中王国時代の地方エリート層における社会政治的構造、日常生活、宗教的信念、芸術的な様式に関する深い洞察を与えてくれます。
結論
メイルのネクロポリスは古代エジプトの歴史の豊かさと複雑さを伝える重要な遺跡です。保存状態の良い墓を通じて、エジプトの地方支配者の生活に触れることができ、歴史家、考古学者、旅行者にとって非常に魅力的なスポットとなっています。
2020年3月18日作成
2025年4月更新
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