「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
アスワン・イシス神殿 – ポンペイ
アスワン・イシス神殿 – ポンペイ
アスワンのイシス神殿
アスワンのイシス神殿は、「完全な形で残るイシス神殿」とも称され、プトレマイオス朝の建築と宗教的信仰を象徴する貴重な遺跡です。ナイル川東岸に位置し、プトレマイオス3世からプトレマイオス4世の治世にかけて建設されたこの神殿は、その保存状態の良さで知られています。
イシス神殿の主要な特徴
建設
神殿は主に砂岩のブロックを使用して建設されました。特に東側と北側の壁にこの素材が用いられましたが、これらの壁は完全には仕上げられませんでした。
設計
建設が未完のままとなった部分もありますが、神殿の壁はほぼそのまま立ち続け、屋根を支える花崗岩のスラブも残っています。この堅牢な構造が、神殿の保存状態を良好に保つ要因となっています。
入口
かつてナイル川に面していた西側の中庭は失われていますが、南側と中央部分の壁には、精巧な装飾が施された扉の上枠や門柱が残る二つの入口があります。
装飾
南側の外壁には、フィラエ神殿などのプトレマイオス朝の神殿にも見られる獅子の頭を模した雨水の排水口が施されています。
内部
神殿の中央ホールは薄暗く、奥の壁には、王がオシリス、ホルス、イシス、クヌム、アヌビス、サティスといった当時の神々に供物を捧げる場面が描かれています。
考古学的意義
神殿の周辺には、ローマ時代やイスラム時代の住居の煉瓦の破片が残されており、長い歴史を通じてこの場所が利用され続けたことを示しています。
修復活動
この神殿は、エジプトとスイスの共同修復プロジェクトの対象となっており、修復作業と並行して考古学的発掘も行われています。この過程で、コプト教徒による落書きや、神殿の拡張計画に関する痕跡が発見されています。
イシス神殿は、プトレマイオス朝における古代エジプトの宗教と建築の遺産を今に伝える貴重な遺跡です。その保存状態の良さから、当時の宗教儀式や建築様式について貴重な知見を提供しています。
作成日: 2020年3月18日
更新日: 2025年3月11日