「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
隠された宝物
古代文化が交わる地
エジプトの中心部に位置するアル・ファイユームは、単なる砂漠のオアシスではなく、独特の歴史的魅力が詰まった宝庫です。この地に根付いた多くの見所の中には、アル・ファイユームならではの風景があり、かつてここで栄えた文化が交わり合う魅惑的な世界を垣間見ることができます。
謎めいたファイユームのミイラ肖像画:文明の融合
アル・ファイユームでは、死者を敬うという古代の芸術が、ローマ、ギリシャ、エジプトの伝統が融合する魅力的な姿を見せています。ローマ人が通常火葬を採用していた一方で、エジプト人は亡き者を保存する文化を貫いており、この時代にユニークな文化的統合が生まれました。
こうした文明の交差点に誕生したのが、ファイユームのミイラ肖像画です。これらは単なる葬送品ではなく、文化が混じり合った芸術作品です。彩色した蝋を使った「エンカウスティック」という技法で木板に描かれた肖像画は、亡き人々を生き生きと描き出しています。
当初、これらの肖像画はギリシャのエリート層を描いたものと考えられていました。しかし、さらなる調査と理解を経て、これらの肖像画が主にアル・ファイユームに住む地元のエジプト人を描いたものだと分かってきました。その魅惑的にリアルな目と表情豊かな顔立ちから、肖像画は生者と死者の橋渡しとして機能し、文化の境界を超えた芸術表現の時代を証明しています。
アル・ファイユームでは、あらゆる遺物や遺跡が、異なる世界が交錯し独自の文化的・芸術的遺産を生み出した時代の物語を語っています。ファイユームのミイラ肖像画は、こうした豊かで絡み合った歴史の象徴として、過去の謎をさらに掘り下げたい旅行者を誘い続けています。
2020年3月18日作成
2025年3月4日更新
アルファイユーム旅行ガイド

