「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
アル・アクマル・モスク
アル・アクマル・モスク:イスラム建築の宝石
カイロ旧市街の歴史が息づくシャーリア・アル・ムイッズ・リッディーンッラー通り沿いに、ひっそりとたたずむアル・アクマル・モスク。この小さな宝石のようなモスクは、イスラム建築の不朽の名作として、時を超えて今もなお輝き続けています。11世紀に建てられたこのモスクは、エジプトに現存するファーティマ朝様式の中で最古のモスクとされ、その存在そのものが、カイロの豊かな文化の織物を物語っています。
モスクの石造りのファサード(正面)は、まさに建築芸術の粋。訪れる者を中世の壮麗な時代へと誘うような、荘厳な美しさをたたえています。このモスクは、栄華を誇ったファーティマ朝の最後期のカリフのひとりの庇護のもとに建てられ、その歴史は、建物を形づくる一つひとつの石に刻み込まれているのです。
内部に足を踏み入れると、まず目を奪われるのが、ムカルナス(鍾乳石装飾)の天井。まるで石のレースのように繊細で、光と影が織りなす神秘的な空間は、何世紀にもわたるイスラム建築の技巧と精神の結晶と言えるでしょう。
さらに、フード状のアーチに施されたリブ模様(リブボールト)も見逃せないポイントです。その一つひとつの曲線が、機能性を超えた優雅さを建築に与え、当時の美意識と信仰心の深さを感じさせてくれます。
冒険心のある方は、ぜひモスクの屋上へ登ってみてください。そこからは、「ベイン・アル=カスレイン(宮殿の狭間)」と呼ばれる歴史地区が一望でき、カイロの真髄が凝縮されたような壮大な景観を目にすることができます。古都の活気が今も脈々と息づくその光景は、まさに時空を超えた旅のハイライトとなることでしょう。
アル・アクマル・モスクは、その時を超えた魅力と建築美によって、訪れる者をイスラム芸術と文化の奥深い世界へと誘います。カイロの宝冠に輝く一粒の宝石——それがこのモスクです。歴史と美が融合したこの空間で、あなたも忘れられない体験をしてみませんか。
作成日:2020年5月4日
更新日:2025年3月21日
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