「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
イスラム美術館
カイロのイスラーム美術館:歴史と美の宝庫
歴史あるバーブ・ズウェイラから西へわずか500メートルの場所に佇むカイロのイスラーム美術館は、イスラム芸術の多様性と壮麗さを象徴する存在です。近年大規模な改修を経て生まれ変わったこの美術館は、世界でも有数の規模を誇るイスラーム芸術のコレクションを所蔵しており、その数はなんと80,000点以上。実際に展示されているのはその一部に過ぎませんが、厳選された展示品の数々は、まさに息を呑む美しさです。
展示ラベルの多くはアラビア語で記載されており、英語での説明は限られていますが、それでも作品の魅力や芸術性を損なうことはありません。展示品には、陶器やフレスコ画、繊細なモザイク画など、様々な時代と王朝の作品が揃い、イスラーム美術の豊かな歴史を物語っています。
この美術館ならではの魅力のひとつが、具象的なモチーフを取り入れた作品群です。イスラム美術の一般的な枠を超えた表現として特筆すべきなのが、キリスト磔刑後の聖母マリアがキリストを抱く姿を彫刻で描いた、アイユーブ朝時代の銀製ボウルです。展示品はその用途や歴史的意義に基づいて丁寧に分類されており、訪れる人々にイスラーム美術の進化をたどる知的な旅を提供してくれます。
美術館はカイロの中心部という好立地にあり、ミダン・アタバから北西へ約700メートル、ミダン・タハリールからはシャリア・サーミ・アル=バルーディ通り沿いに約1.6キロメートルの距離です。近くにはモハメド・ナギーブ地下鉄駅もあり、地元の人々はもちろん、海外からの旅行者にとってもアクセスは非常に便利です。イスラーム美術とその歴史の奥深さに触れたい方にとって、この美術館はまさに必見のスポットです。
作成日:2020年5月4日
更新日:2025年3月21日
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