「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
イブン・トゥールーン・モスク
イブン・トゥールーン・モスク:カイロに佇む悠久の記念碑
イブン・トゥールーン・モスクは、カイロに現存する最古のモスクであり、建設以来途絶えることなく人々に祈りの場を提供し続けてきたイスラム建築の至宝です。高くそびえる壁面に刻まれた美しく規則的な装飾は、この街の歴史的景観の中でもひときわ目立つランドマークとなっています。9世紀にアッバース朝の代理人としてバグダードから赴任し、アル・フスタートの守備隊を統治していたイブン・トゥールーンが、この壮麗なモスクの建設を命じました。
限られた予算やその後の再建にもかかわらず、イブン・トゥールーン・モスクは今日もカイロにおける宗教的建築物の至宝として輝き続けています。その建築デザインにはイブン・トゥールーン自身の故郷であるイラク、特にサーマッラーの大モスクの影響が色濃く現れています。モスクの象徴的な螺旋状のミナレット(尖塔)は、サーマッラーのミナレットに倣って設計されました。また、この建築には革新的な尖頭アーチが取り入れられ、ヨーロッパで広まるゴシック建築の尖頭アーチよりも約2世紀も前に登場したことで知られています。
金曜礼拝(ジュムア)の際に地域全体の人々が集まることを想定し、モスクは6エーカー以上という広大な敷地を占めています。螺旋状のミナレットの頂上まで登れば、カイロの城塞(シタデル)を一望することができ、訪れる人々を感動的な眺望で迎えてくれます。さらにモスクには、中庭を取り囲む堀のような空間が設けられており、聖なる領域と都市の日常的空間を象徴的に区切っています。
この建築的傑作を生んだビジョナリー、アフマド・イブン・トゥールーンの生涯や功績にさらに深く触れたい方には、詳細な情報もご用意しております。イブン・トゥールーン・モスクは、単なる祈りの場を超え、カイロの歴史的、文化的な伝統を今に伝えるかけがえのない証なのです。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月22日
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