「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
シャーリア・アル・ムイッズ・リッディーン・アッラー通り
シャーリア・アル・ムイッズ・リッディーン・アッラー通り:時を超える歴史の大通り
カイロ旧市街の中心に、時の砂がかつての時代の秘密をささやく場所があります。それが、時代を超えて息づく大通り――シャーリア・アル・ムイッズ・リッディーン・アッラー通りです。かつてこの通りは、語り部や大道芸人が行き交い、屋台からは芳しい香りが立ちのぼる、活気あふれる大動脈でした。そのすべてが、エジプトの豊かな歴史の織りなす一片として、今日まで息づいています。
この通りの名は、969年にカイロを征服し、その後の街の姿を決定づけた強大なファーティマ朝のカリフ、アル=ムイッズにちなんで名付けられました。かつての栄華を今に伝えるこの通りも、現在では過去と現代が美しく融合した姿へと変貌を遂げています。
ゆるやかに曲がる通りを歩けば、足元には新しく舗装された遊歩道が続き、見上げれば古代のミナレットが空を指し示すようにそびえ立ちます。朝の静けさが街を包む時間帯には、車の喧騒から解放され、往時の宝物の数々をじっくりと味わうことができるでしょう。
この通りの光景は、初めて訪れる者にとってはまさに圧巻。文化と時代を超える五感の旅が待っています。そして、すでにその魅力を知っている人でさえ、近年加えられた大きな変化に、再び歩みを止めて見つめ直したくなることでしょう。
かつての一角では、シーシャ、水タバコ用の火鉢、フール(エジプト風そら豆料理)用の鍋など、庶民の生活に根ざした品々が並ぶ小さな露店が軒を連ねていました。洋ナシ形の器が印象的だったこれらの店は、次第に通りの風物詩となり、やがて三日月形のミナレットの頂部や、コーヒー壺、美しい銅製品などが加わるようになりました。こうして、この通りは「シャーリア・アン=ナハシーン(銅職人の通り)」という愛称で親しまれるようになったのです。
通りの右手、わずか200メートル南には、スレイマン・シラフダール・モスクが佇んでいます。この18世紀のモスクは、ムハンマド・アリー朝の時代に建てられたもので、優美なミナレットと曲線美にあふれたファサードが特徴的なトルコ風建築の傑作です。礼拝の場であると同時に、文化的な拠点でもあり、隅には公衆のための水飲み場(サビール)とクルアーン学校(クッターブ)が設けられています。
シャーリア・アル・ムイッズ・リッディーン・アッラー通り――そこは、歴史の息吹と美が交差する永遠の舞台。歩を進めるたびに、過去の物語が耳元でそっとささやき、旅人をエジプトの時空を超えた旅へと誘います。ここは、まさに歴史の中を歩く場所なのです。
作成日:2020年5月4日
更新日:2025年3月21日
カイロ旅行ガイド

