「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
スルタン・ハサン・モスクとマドラサ
スルタン・ハサンのモスクとマドラサ:マムルーク建築の傑作
サラー・アッ・ディーン広場に位置し、1356年から1363年にかけて建設されたスルタン・ハサンのモスクとマドラサは、マムルーク建築の珠玉の名作であり、その時代の最も壮麗な建物の一つとして称賛されています。このモスクの基礎は、13歳という若さで権力を握ったスルタン・カラウンの治世下で築かれました。彼の治世は波乱に満ちており、数度の倒閣と復権を経て、モスク完成前に不運にも暗殺されました。
モスクの建設には悲劇的な歴史が色濃く残っています。建設中にミナレットが崩壊し、300人もの見物人が命を落としました。この悲しい過去にもかかわらず、モスクは今日、建築的な壮大さを象徴する存在として立ち続けています。その入口は美しく精緻に設計されており、4つのドーム状のホール、いわゆるイワーンへと続く回廊に繋がっています。各イワーンは、スンニ派イスラームの四大学派それぞれに捧げられ、イスラーム学問の伝統の融合を象徴しています。
東側のイワーンには、十字軍から取り寄せたと言われる柱に囲まれた精巧なミフラーブ(礼拝所)が設置されています。スルタンの私室には、装飾された銅製の扉があり、このモスクの歴史的な魅力を一層引き立てています。
スルタン・ハサンのモスクとマドラサの隣には、もう一つの建築の驚異、アール・リファイ・モスクがあります。1869年から1912年にかけて建設され、現代エジプト王朝の重要人物、例えばイスマイール・ヘディーヴやファルーク王、さらにはイラン最後のシャーの墓もここにあります。これらの墓はモスクの入口の左側にあり、エジプトの豊かで複雑な歴史をしみじみと感じさせてくれます。
スルタン・ハサンのモスクとマドラサは単なる宗教的な場所ではなく、石に刻まれた歴史の物語であり、訪れる人々にマムルーク時代の壮大さを体験するために時を遡る旅へと誘います。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月22日
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