「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
ムハンマド・アリー・パシャのサビール
ムハンマド・アリー・パシャのサビール:歴史に輝く黄金の証
カイロの活気あふれる中心部に、ひときわ輝く建築の傑作が佇んでいます。それが、エジプト史にその名を刻む象徴的人物、ムハンマド・アリー・パシャの不朽の遺産を称えるサビールです。1820年に建てられたこの建物は、カイロにおける建築の潮流を一変させるものであり、華麗なカリグラフィーのパネルや金箔の格子窓で彩られた、カイロ初のオスマン・トルコ様式の建築物として知られています。
丹念に修復されたムハンマド・アリー・パシャのサビールは、当時の華やかさをそのままに今も堂々と建っています。その一歩を踏み入れると、来訪者は時空を超えた旅へと誘われ、偉大なる啓蒙君主ムハンマド・アリーの物語と芸術的表現に迎えられます。このサビールは、彼が愛する息子トゥスーンのために建立したもので、悲劇的な疫病により若くして命を落とした彼を悼む、父の深い愛情が込められています。
この歴史的建造物が語るのは、美しさだけではありません。地下にはかつて人々に清らかな水を届けた貯水槽が今も眠っており、当時の優れた実用性と知恵の証となっています。そして階上へ進むと、1992年まで使用されていた教室の跡が現れます。かつて学びの声が響いていたこの空間には、何世代にもわたる教育への情熱と希望が今なお息づいています。
ムハンマド・アリー・パシャのサビールは、単なる建築物ではなく、エジプトの豊かな歴史を今に伝える生きた記録です。芸術と歴史が融合するこの場所は、かつてカイロが洗練と知性の象徴であった時代の面影を鮮やかに映し出します。このサビールに足を踏み入れることは、優雅さと啓蒙が息づいていたカイロの精神と出会う、特別な時間への扉を開くことなのです。
作成日:2020年5月4日
更新日:2025年3月21日
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