「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
ローマの塔
バビロンの余韻:ローマの塔と聖ジョージ教会
カイロの中心で、時が織り成す文明のタペストリーの中に、古代の要塞「バビロン」の遺構が姿を現します。これは、ローマ皇帝トラヤヌスの不屈の精神と古代工学の力を物語る証であり、西暦98年に築かれました。その名「バビロン」は、ファラオ時代の先駆者「ペル・ハピ・エン・オン」(オンのナイルの神の邸宅)にちなんだ詩的な呼び名と考えられています。
今日、このバビロンは2つの円形の塔としてその姿を残しています。かつて西門を守っていたこれらの塔は、時の流れに耐えながらたたずんでいます。特に川沿いの防御に不可欠だったこれらの塔の土台に、かつてナイルの力強い流れが打ち寄せていた光景を想像してみてください。探索を進めると、南の塔で発掘された古代の波止場の一部を見ることができ、街路の深い下に隠れた歴史の一端を垣間見ることができます。一方、北の塔の上には、ギリシャ正教の修道院と聖ジョージ教会という霊的な聖域が広がっています。
聖ジョージ教会の名前は、キリスト教で最も親しまれている聖人の一人に由来します。聖ジョージの物語は、揺るぎない信仰と勇気の象徴です。ローマ軍に徴兵されたパレスチナの兵士であった彼は、西暦303年に命を落としました。その原因は、キリスト教の実践を鎮圧しようとする皇帝ディオクレティアヌスの命令に勇敢に抵抗したためです。この聖ジョージへの献身は1909年に始まったものですが、その伝統は10世紀のコプト・カイロにまでさかのぼります。
教会内部に一歩足を踏み入れると、その壁に刻まれた歴史を目の当たりにすることができます。かつての火災の傷跡が残る内部は、色鮮やかなステンドグラスの窓や華麗な緑のタイルが敷き詰められた天井により、時を超えた美しさを放っています。その近くには修道院がありますが、訪問者には公開されておらず、静寂と瞑想に包まれています。毎年4月23日には、「コプト・ムーリッド・マル・ギルギス」が開催され、この聖人の永遠の遺産を祝います。
これらの古代の塔と聖ジョージ教会の聖域に立つとき、単なる場所の旅人ではなく、歴史の響きに立ち会っているのです。カイロの中心で、過去と現在が交錯し、エジプトの不滅の精神が紡ぐ豊かなタペストリーに浸るように、さらに深く探求してみてください。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月22日
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