「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
ホワイト・モナステリー(白の修道院)
ホワイト・モナステリーの歴史
ホワイト・モナステリーは、エジプトの教会遺産における重要な存在であり、332年または350年から451年または466年の間に、聖シェヌーテによって創建されました。彼の高い名声により、この修道院は特別な地位を築き上げました。以下に、その歴
創建と意義
聖シェヌーテによって創建されたホワイト・モナステリーは、瞬く間にエジプトで最も重要な修道院のひとつとなりました。
建築的重要性
この修道院の教会は、エジプト建築史において特筆すべき存在であり、後の教会建築に大きな影響を与えました。
バシリカ様式を採用しており、三廊式の構造が特徴です。
外壁はエジプト神殿を彷彿とさせるコーニス(軒蛇腹)で飾られ、その堂々たる外観は古代の建築美と宗教的威厳を兼ね備えています。
ペルシャの侵攻と修復
紀元619年のペルシャ侵攻の際、教会は焼失しましたが、その後、細心の注意を払って再建されました。再建にあたっては、元の設計と寸法が忠実に守られ、創建当時の壮麗さと精神性が保たれています。
建築の変遷
この教会は、長い歴史の中で幾度となく損傷と修復、改築を経てきました。その結果、現在の構造は、聖シェヌーテが築いた当初の姿とはいくつかの点で異なっています。
現在では屋根が失われていますが、残された柱からは側廊の配置や説教壇への階段の位置が明確に読み取れ、当時の構造を今に伝えています。
内部の特徴
かつて教会の身廊には屋根があり、壁や柱、壁龕(ニッチ)には美しい彩色装飾が施されていました。
大きな改変点のひとつは、身廊東端に築かれた高い壁です。これは元々存在していたアーチに代わるもので、身廊と聖域を明確に隔てる構造となっています。
現代の適応
現代の聖域には、9世紀に建てられた可能性のある聖歌隊室が含まれており、その後、アーチ型の天井が施されています。
東端には三つのドーム型半円形のチャペル(アプス)が並んでおり、その中央のアプスには主祭壇が配置されています。
アクセスとレイアウト
訪問者は、教会に並行する長い部屋に通じる門を通って入りますが、その部屋の目的は不明です。
教会の西端には前庭(ナーテックス)があり、北壁には封鎖された門が特徴的です。
側廊の上にはギャラリーが設けられており、身廊を見渡すことができます。
現在の状態と使用
ホワイト・モナステリーは、現代の宗教的実践に対応するために調整を加えつつ、現在も活発な礼拝の場として機能しています。
その歴史的・建築的な重要性から、今もなお多くの訪問者や学者を魅了しています。
ホワイト・モナステリーは、エジプトにおけるキリスト教修道主義の永続的な遺産を象徴する存在であり、何世代にもわたる宗教的、文化的、建築的進化を示しています。その歴史は、時代の変化や課題に直面しながらも、保存と適応がどのように調和してきたかを物語っています。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月23日