「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
(アル・メザウワカ)
石に刻まれた遺産:アル=メザウワカの墓の謎に迫る旅
古代エジプトの風景に静かに佇むアル・メザウワカ墓群、別名「装飾された丘」は、アムヘイダ墓地群の重要な一部を成しています。この魅惑的なネクロポリスは、柔らかい石で形成された稜線や丘で彩られ、ローマによるエジプト支配時代の西暦1世紀から2世紀にかけて歴史の静かな証人として存在していました。ここには、約300の墓が既存の地質形成を利用して慎重に彫られ、それぞれが古代の物語を語っています。
これらの墓のデザインは、主にエジプト伝統様式に基づいており、地域の古来の風習や芸術的表現への深い敬意を示しています。ローマの影響があったものの、建築や装飾においてはエジプトの葬祭芸術の本質が顕著に表れています。
この永遠の住まいの中でも、ペトシリスとプトバスティスに属する墓は、その特異な芸術性で際立っています。これらの墓はまだ完全に解明されておらず、その住人の身元は謎に包まれたままです。しかし、ペトシリスとプトバスティスの墓を飾る鮮やかな壁画は、その時代の豊かな文化的・芸術的融合の一端を垣間見せてくれます。
パディオシル・ペトシリスの墓は、西暦2世紀初頭に建設されたと考えられ、独特の二重室構造を備えています。一方、プトバスティスの墓は、ミイラを安置するための台座がある単一の室を持っています。内部には、ピンク色のローマ風マントを纏ったプトバスティスの壁画があり、その周りにはさまざまな象徴的要素が描かれています。礼拝堂の天井は、西暦1世紀を象徴する黄道帯のデザインで飾られています。特に、オシリスが心臓を量る場面や、イシスが奉納する場面が描かれ、古代エジプトの宗教的伝統への敬意が表れています。
これらの墓は、新王国の典型的な葬祭芸術をも示しており、星座、スカラベ、鳥、動物、そしてホルス神が描かれています。この芸術作品は、地域におけるエジプト図像学の持続的な影響を証明するものです。
これらの墓に実際にミイラが埋葬されていたかどうかは不明ですが、近隣の他の墓からは、華美ではないものの出土品が見つかっています。これらの墓に刻まれた彫刻や碑文は、ダフラ地方におけるローマ人の霊的信仰や慣習について貴重な洞察を提供しています。
アル・メザウワカ墓群は、古代の貴重な遺物の宝庫として、長い間公衆や学者の想像力をかき立ててきました。これらの墓は、1908年にハーバート・ウィンロックによって最初に写真に収められ、その意義は1972年にアーメッド・ファクリによって再発見され、劣化した壁画の修復が行われました。
しかし、屋根の不安定な状態などの構造的な問題から、1998年にペトシリスとプトバスティスの墓は閉鎖されました。再建作業が完了したにもかかわらず、これらの古代の驚異は一般公開されることなく、将来の世代が探求し理解できるよう、そのまま保存されています。
アル・メザウワカ墓群は、歴史と芸術が織り成す豊かなタペストリーであり、エジプトの独自の遺産を形作った文化的・芸術的交差点を永遠に証言し続けています。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月22日
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