ローマ要塞に隣接する砂岩の神殿は、1世紀末から2世紀初頭にかけて建設されたもので、ドミティアヌス帝の治世に着工され、トラヤヌス帝の時代に拡張されました。その後、ハドリアヌス帝によって一部装飾が施されました。神殿は当初オシリス神に捧げられていましたが、後にセラピス神とイシス神も祀られるようになりました。神殿の正面には、トラヤヌス帝による奉納碑文が刻まれた壮大な石造りの門が立っており、その碑文は西暦116年のものとされています。
1989年、フランスの考古学者たちは神殿の西側で「ドゥシュの財宝(Dush Treasure)」と呼ばれる貴重な遺物を発見しました。この発見には、金箔を施されたイシス神の小像、青銅製の像、さらには金の宗教的装飾品や奉納品を隠した陶器の壺などが含まれています。これらの遺物は4世紀から5世紀のものであり、エジプトにおけるローマ時代の信仰についての貴重な手がかりを提供しています。現在、これらの財宝はカイロのエジプト考古学博物館に収蔵されています。