「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
歴史の層を紐解く
ベニ・スエフの歴史
ベニ・スエフは、エジプトの歴史を貫く時の流れの中で、絶え間なく人々が暮らし続けてきたことを示す証です。この地域は古代の遺産に満ちており、中でもメイドゥーム・ピラミッドは、現存する中で2番目に古いピラミッドとして知られています。第3王朝最後の王であるホニ王の治世に建設が開始され、その後、第4王朝の創始者であり、クフ王の父であるスネフェル王によって完成されました。
考古学的遺産の宝庫
ベニ・スエフには、メイドゥームのピラミッドだけでなく、数々の考古学的遺産が残されています。その中には、「グランド・ピラミッド」と呼ばれる巨大な遺跡や、コプト教の重要な史跡も含まれます。代表的なものとして、アンバ・ボラ修道院、ナセル地区にある聖アンソニー修道院、そしてナイル川東岸のバヤド・アル=アラブにある聖母マリア教会などが挙げられます。これらの修道院や教会は、宗教的・歴史的に非常に重要な価値を持っています。
イスラム遺産とベニ・スエフの聖地
ベニ・スエフのイスラム文化遺産もまた、非常に豊かです。県内には多くのイスラム建築が点在しており、特にスーダス・アル=アマラ村のアフマド・シャディード王子の墓、アブ・シール・アル=マラクにあるマルワン・イブン・ムハンマドの墓地、そしてベニ・スエフ市から18km離れたアル=サイイダ・フリヤ・モスクが知られています。
また、この地域には自然が生み出した驚異的な景観もあり、中でもサンヌーフ洞窟は特筆すべきスポットです。この巨大な洞窟は、純粋なアラバスターの支柱によって支えられており、東端には古代の水路が存在します。この水路は、かつて蓄積された水を排水するために使用されていたと考えられています。
王家の墓と宗教的信仰の進化
ベニ・スエフのメイドゥーム地区には、古代エジプトにおける完全なピラミッド形態への進化を示す王家の墓地があります。特に、第3王朝最後の王であるホニ王の未完成のピラミッドは、エジプト古代宗教の信仰発展において重要な役割を果たしました。この未完成の構造が、後のピラミッド建築に大きな影響を与えたと考えられています。
多層的な歴史を秘めた地
ベニ・スエフには、先史時代から古代エジプトの全歴史、さらにはヘレニズム時代までの重要な遺跡が数多く存在しています。この地は単なる地理的な場所ではなく、エジプト文明の発展の歴史を物語る生きた記録とも言えるでしょう。異なる文化と時代の層が交錯し、それぞれの時代が残した痕跡が、今もなおこの大地に刻まれています。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月12日
ベニ・スエフ旅行ガイド

