「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
ベイト・アル・スハイミ(アル・スハイミ邸)
時を超える美、ベイト・エル・スハイミの魅力を探して
イスラーム地区の迷路のような路地裏にひっそりと隠れているのは、エジプトの豊かな歴史の織物に深く分け入る旅人を待ち受ける、魅惑の宝物——ベイト・エル・スハイミ(スハイミ邸)です。1648年に建てられたこのオスマン朝時代の由緒ある邸宅博物館は、カイロの変わらぬ魅力を今に伝える生きた証人です。
この建築の宝石は、先見の明を持つ建築家アブデル・ワハーブ・エル・タブラウィによって構想され、格式と華やかさに満ちたダルブ・アル・アスファル通りにその姿を現しました。しかしこの家が真に家としての魂を宿したのは、1796年、アフマド・アル・スハイミ師が所有してからのことでした。彼とその家族は、この家に代々の愛情と敬意を注ぎ、隣接する建物を取り込んでさらに優雅な空間へと拡張しました。
スレイマン・モスクのスービル(慈善用の水場)から南に進めば、やがてダルブ・アル=アスファルと呼ばれる風情あふれる小道へと足を踏み入れます。現代的な石畳に整えられながらも、繊細なマシュラビーヤ(木製の格子窓)に彩られたこの通りは、中世の面影を今に残す幻想的な世界へと誘います。
ベイト・エル・スハイミの建物群は、17世紀から18世紀にかけて築かれた家族の邸宅として、この通りに沿って静かに佇んでいます。細い廊下を抜けた先には、静謐な中庭が広がり、その周囲には応接間、浴室、倉庫などが配され、時を超えた物語が静かにささやかれているかのようです。
丁寧な修復作業により、この歴史的邸宅は新たな命を吹き込まれましたが、その過程では約30世帯の立ち退きという犠牲も伴いました。それでもなお、この通りを歩けば、以前のように騒がしく、子どもたちにとっても危険だった工房や工場の姿は消え、かつての静けさと私的空間の尊さが蘇ったことが感じられるでしょう。
ベイト・エル・スハイミの華麗な部屋をひとつひとつ巡るたびに、私たちはまるで過去へとタイムスリップしたかのような感覚に包まれます。その緻密な装飾や壁に残る物語は、時代を超えて語りかけてくるかのようです。この時を超えた宝石のような空間は、エジプトの歴史が今も脈々と息づく、生きた遺産なのです。過去と現在が見事に融合するこの場所で、あなたも時空を超える旅に出かけてみませんか。
作成日:2020年5月4日
更新日:2025年3月21日
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