「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
バブ・ズウェイラ
ズウェイラ門:カイロ歴史地区で時を超える一歩
バーブ・ズウェイラは、中世アル=カーヒラ南部に残る最後の門として、カイロの歴史パズルにおける重要な一片を担っています。この荘厳な門は数多の物語と深い歴史を抱え、勇敢な旅人をその城壁の上へと誘い、眼下に広がる都市の絶景を提供してくれます。
特徴的な二つのミナレットに登れば、カイロの息づく日常が織りなす壮大なパノラマが広がります。その光景は単なる視覚の贅沢にとどまらず、時空を超えた旅—過去と現在が交錯する、この躍動する都市の鼓動を感じさせる瞬間です。歴史的に、バーブ・ズウェイラの正面はマムルーク時代の暗い一面をも映し出してきました。ここはかつて公開処刑の舞台となり、磔刑をはじめとする厳罰が執行される場として、多くの群衆がその光景を見届けに集まりました。
この歴史的建造物にはもうひとつの神秘的な逸話が残されています。木製の扉の一つには、釘や歯が打ち込まれており、かつてこの扉の奥に住んでいたとされる癒しの聖者への供物の痕跡だと言われています。この伝説は今もなおカイロの一部の人々の間で信じられており、聖なる力がそこに残っていると語り継がれています。
バーブ・ズウェイラは単なる建築物ではありません。それはカイロの複雑で多層的な歴史への入口であり、その石の一つひとつが物語を秘めています。数々の勝利と苦難を経てきたこの古都の魂が、この門には刻まれているのです。過去の遺物としてただ存在しているのではなく、今も生き続ける歴史の証人として、訪れる人々に語りかけているのです。
バーブ・ズウェイラを訪れる者は、壮麗な過去を垣間見るだけでなく、時の流れを歩み、歴史の手触りに触れ、カイロという都市がいかにしてその豊かな物語を紡いできたかを体感することができます。あらゆる路地に物語が宿るこの街において、ズウェイラ門はまさに語り部のような存在であり、その影の下を歩く人々に、時代を超えた声を届け続けています。
作成日:2020年5月4日
更新日:2025年3月21日
カイロ旅行ガイド

