「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
ムハンマド・アリー・モスク
ムハンマド・アリー・モスク:カイロに輝くトルコ様式の宝石
ムハンマド・アリー・モスクは、古典的なトルコ建築に着想を得て建てられた壮麗な建造物であり、1830年から1848年にかけて18年もの歳月を費やして完成されました。その圧倒的な美しさは、精巧なシャンデリアと、内部を彩る縞模様の石材が織りなす調和に表れています。特に目を引くのは、エメラルドグリーンに輝く中央ドームであり、建物全体の魅力を一層引き立てています。
オリヴィア・マニングはその著作『レヴァント三部作』の中で、このモスクの本質を詩的に描写しています。「彼らの頭上には、ムハンマド・アリーのアラバスターのモスクが、この砂色の街においてただ一つの白さを放ちながら、ミナレットを天に突き刺し、まるで太った白猫が静かに警戒しているように座っていた」と。彼女の言葉は、モスクがカイロの風景の中で放つ象徴的な存在感を見事に表現しています。
その美しさが高く評価される一方で、モスクのデザインに対して否定的な声も存在します。一部の評論家は、その様式を「魅力に欠ける」と評しており、見る人によって印象が分かれる建築であることもまた、ムハンマド・アリー・モスクの特徴のひとつです。
入口付近には、ムハンマド・アリー本人の墓所があり、色とりどりの大理石で美しく装飾されています。その存在が空間に厳粛さと敬意を与え、訪れる人々に静かな感動をもたらします。
中庭には、もうひとつの見どころである輝く時計が設置されています。これは、フランス国王ルイ=フィリップから贈られたもので、現在パリのコンコルド広場に立つファラオ時代のオベリスクに対する返礼でした。しかし、輸送中に損傷を受けたため、この時計は現在まで一度も動いたことがありません。
ムハンマド・アリー・モスクは、その建築的な壮麗さと歴史的背景が融合した、エジプトの豊かな文化の織物を体現する存在です。この荘厳なモスクは、過去と現在をつなぐ生きた遺産として、訪れる者を魅了し、エジプトの歴史に深く触れる旅へと誘います。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月22日
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