「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
穏やかな癒しの旅
ヌエバの歴史
ヌエバは、エジプト・シナイ半島のアカバ湾東岸に位置する都市であり、その歴史はさまざまな時代にわたって静かに展開されてきました。初期の記録にはあまり登場しないものの、徐々にその重要性を高めてきた地域です。以下に、ヌエバの歴史的な歩みを簡潔にご紹介します。
古代のはじまり
古代において、ヌエバは小規模な漁村であり、少数の部族が住んでいたと考えられています。
アラビア半島からの交易キャラバンが通過する小さな中継地としても機能していました。
ファラオ時代、ローマ時代、プトレマイオス朝、コプト時代の記録には、ヌエバの名は登場していません。
イスラム初期の重要性
イスラム教がエジプトおよび北アフリカに広がるとともに、ヌエバはメッカへの巡礼者の経由地として注目されるようになります。
アカバ湾に近い戦略的な立地が、巡礼の要所としての役割を高めました。
イスラム時代の発展
その後のイスラム時代には、ヌエバは次第に商業的な重要性を帯びるようになります。
「エジプト東の門」として知られるようになり、交易と交通の拠点としての存在感を強めました。
マムルーク朝・スルタン・エル=グーリーの影響
16世紀、マムルーク朝のスルタン・エル=グーリーはヌエバの戦略的重要性を認識し、近郊に要塞を築きました。
この要塞は、ヌエバが地域の安全保障と政治において重要な拠点であることを示すものでした。
19世紀の発展
19世紀末には、エジプト警察がキャメル・コー(ラクダ部隊)のための新たな要塞を建設しました。
この地域は、サウジアラビア、ヨルダン、パレスチナ、そして後のイスラエルと接する国境近くに位置していたため、安全確保が重要視されていました。
まとめ
初期の記録にはあまり登場しないものの、ヌエバは漁村から交易と戦略の要所へと発展していきました。
特にイスラム時代以降の進展は、ヌエバが地域の巡礼・貿易・安全保障において重要な役割を果たしてきたことを物語っています。
その歴史的背景は、ヌエバの自然美と相まって、文化的にも深みのある魅力的な旅先としての価値を高めています。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月27日