「ようこそ」という言葉をこれほど頻繁に口にする国は他にありません。そしてエジプト人がその言葉を口にするたび、それは本心からの歓迎です。悠久の歴史を持つ古代エジプト文明が人々を魅了し続ける一方で、現代のエジプト人も同じように驚くべき存在です。
地中海の隠れた楽園
マルサ・マトルーフの歴史
マルサ・マトルーフは、美しい海辺のリゾート地として人気を集める一方で、深い歴史を刻んできた都市でもあります。以下に、その豊かな歴史の歩みをご紹介します。
古代とアレクサンダー大王の時代
古代エジプト時代、マルサ・マトルーフは**アムニア(Amunia)**と呼ばれる小さな漁村として始まりました。
アレクサンダー大王の治世中、この地はその戦略的重要性により注目を集めました。
プトレマイオス王朝とビザンチン帝国時代
プトレマイオス朝の時代、この地はコイネー・ギリシャ語で**パライトニオン(Paraitónion)**として知られ、
ビザンチン帝国時代にも、地中海沿岸の重要な拠点としてその存在感を保ち続けました。
ローマ時代
ローマ時代には、都市名は**パラエトニウム(Paraetonium)**とされ、
地中海貿易において重要な港のひとつとして繁栄しました。
特にローマへの穀物や物資の輸送拠点として重要視されていました。
第二次世界大戦の戦略拠点
第二次世界大戦中、マルサ・マトルーフはイギリス軍の重要な戦略拠点となりました。
都市の東には「バガッシュ・ボックス(Baggush Box)」と呼ばれる要塞が設置され、
1936年にフーカから延伸された鉄道は、戦時中の輸送と兵站において大きな役割を果たしました。
観光と現代の発展
今日、マルサ・マトルーフはヨーロッパやカイロからの観光客に人気のリゾート地として発展しています。
柔らかな白砂のビーチ、透き通る穏やかな海、そして自然の岩によってできた防波堤が魅力です。
マルサ・マトルーフ国際空港によってアクセスも良好で、訪れやすい観光都市として注目されています。
考古学的重要性
この地域には、紀元前1200年に遡るラムセス2世の神殿跡もあり、
プトレマイオス朝やローマ時代よりも古い歴史的重要性がうかがえます。
まとめ
マルサ・マトルーフは、古代の漁村からローマ時代の港、そして第二次世界大戦の軍事拠点を経て、
現在は穏やかなリゾート都市へと姿を変えた、多層的な歴史を持つ魅力的な場所です。
その自然の美しさだけでなく、文化と歴史に満ちた背景が、観光客や歴史愛好家を惹きつけてやみません。
作成日:2020年3月18日
更新日:2025年3月27日